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【小説】イラストレーターになりたくて震える。ファンアートあり

とぴん様よりファンアートをいただきました。本当にありがとうございました。
キャラクターは、ひつじちゃんです。

小説の文字数は、15,555 文字です。気軽に読んでみてください。

イラストレーターになりたくて震える。

第1話 イラストレーター目指します

 炎暑。冬野宗介(ふゆの・そうすけ)の夏が終わった。昨日、雨が降って試合が次の日に持ち越されたのが敗因かもしれない。先輩たちの集中力は途切れ、格下だと思われた相手に負けた。もちろん野球の試合に絶対の勝利なんてものはない。けれども、野球の女神は先輩たちに微笑んではくれなかった。夏の舞台で一度も校歌を歌うことなく先輩たち(三年生)の夏が終わった。

 宗介は二年生。しかし、異様なまでの脱力感に襲われた。小さい頃からスポーツマンの宗介は野球も水泳もマラソンも何でもできた。もともと野球部というのは高校のスポーツ万能野郎が入る部活であり、宗介もスポーツが得意で入部したのだけれど、甘かった。食パンにチョコレートとアンコとハチミツをぶっかけるくらい甘かった。

 野球部をなめていた宗介は痛い目を見る。本気で甲子園を目指す野球部の練習に体がついていかず、授業中いつも寝ていた。宗介の成績は右肩下がり。クラスで戦隊のアカレンジャーに任命されるほどの馬鹿さ加減だった。おまけに宗介は問題児。たびたび友達には言えない不祥事を起こして高校の先生ならびに野球部の監督を困らせていた。

 ……一年間と半年、必死にやってきたが、ここまでかもしれない。

 宗介は限界を感じていた。成績の悪化、不祥事、トドメとばかりに先輩たちの一回戦敗退。野球も小学校から六年間続けてきたという理由で高校も野球部を選んだだけでそれほど好きではないのかもしれない。そう考えるようになってきた。

 宗介が野球をやめる最大のきっかけというのが、弱いことだった。

 先輩も同級生も後輩も監督も、部全体が甲子園を目指してやってきたのだけれど、よくて二回戦進出、普段は一回戦勝利、そんなレベルだった。まして宗介の一個上の世代ともう一個上の世代は公式戦で勝利できていないのだ。甲子園を目指すと言っておきながら一回戦も勝利できない弱小部に嫌気がさした。

 だからやめることにした。高校の三年間と学力すべてを犠牲にしてまで野球部に捧げるつもりでいたのに、必死にやっても成果の出ない野球部に辟易としていた。むろん勉強せずに夜な夜なエッチな動画を見まくっていた宗介に非がある。しかし、けれども、そもそも根本的に宗介の性格と野球部の気質なるものがまったくといっていいほど合わなかったのだ。遅刻の常習犯であり、問題児であり、進級するのもやっとだった宗介が野球部をやめたのは当然の帰結と言える。

 さて。野球部をやめたのはいいが。宗介のもとには引き換えに大量の時間が生まれた。俗にいう暇になった。もちろん普通の一般的な高校生ならばの話、部活動をやめれば受験勉強に専念するのが一般的だ。しかし、宗介はなぜか勉強することを放棄していた。これは後述するのだが、宗介は勉強しても頭に入らない問題を抱えていた。そんなわけで宗介は野球をやめ、勉強もすることなく、悠々帰宅部を満喫していた。

 転機が訪れたのは二年生の秋。ケータイとの出会いだった。モバゲー。当時のケータイのムーブメントを一手に担っていたのはモバゲーだった。そこで宗介はケータイ小説に出会った。野球部をやめ勉強もせずに暇していた時期だったからかもしれないが宗介はケータイ小説にどっぷりハマった。中でも王様ゲームなどに属されるデスゲームやファンタジー小説などを読み漁った。ケータイ小説は恋空などの、ヤンキー女子高生が恋愛するといった、そういったイメージが強い。しかし、当時のモバゲーは恋愛以外にも面白いジャンルが山ほどあった。今のデスゲームの走りとなる王様ゲームやハリーポッターを真似た学園最強ファンタジー。小説家になろうが異世界転生ならば、モバゲーのファンタジー小説は、現地人が学園で最強になりギルドでも最強になるといった感じだった。そこから書籍化も続々と生まれたがこれは蛇足なので割愛する。

 とにもかくにも宗介はケータイ小説にハマり自分で小説を書いてみることにした。愚にもつかぬ話ではあるが、宗介はケータイ小説に救われた。そして、青春すべてを野球とケータイ小説に捧げたと言っても過言ではない。

 宗介の初めて書いた小説は学園物で、主人公には悪友がいて、ヒロインは辞書を投げて、と、どこかギャルゲーを思わせるような内容だったが、下手すぎて削除した。

 さてさて、ちょっと失礼するが。これは小説家を目指す話ではない。イラストレーターを目指す話だ。

 閑話休題。

 モバゲーのケータイ小説は表紙をつけることができた。それを見て宗介は思った。……自分もイラストが描きたい。

 なにぶん中学二年生まで本気で漫画家を目指していた男だった。小さい頃からスポーツマンであるというだけで野球も水泳もマラソンもこなしてきたが、実際には、何になりたいか? と問われれば漫画家になりたかった。

 ……漫画家になろう。でも年齢制限がある。今からじゃかなり厳しい。

 宗介にはブランクがあった。高校生になって一度も絵を描いていなかった。

 だからイラストレーターになることにした。

 モバゲーで、自分で書いたケータイ小説に自分で描いたイラストをつけるのだ。

 宗介は将来、イラストレーターになることを決めた。

第2話 PDCAサイクルを考えます

 家に帰りパソコンの電源を付けた宗介はイラストレーターになるためには何が必要かを真剣に考えた。ネットの海を漁っていると、こんな逸話を見つけた。

 皆さんはピカソをご存知でしょうか。

 ピカソは、人が作品という「モノ」にお金を支払うのではなく、「物語」を買うということを知っていた。ある店でピカソがウェイターにスケッチを求められたときのエピソードを次のように紹介しています。

「このナプキンに何か絵を描いてもらえませんか?もちろん、お礼はします」と。 ピカソは、これに答え、30秒ほどで、小さな絵を描いた。 そして、にっこりと笑って「料金は、100万円になります」と言った。

 ウェイターは驚いて、「わずか30秒で描かれた絵が100万円ですか!?」と聞いた。それに対して、ピカソはこう答えたという。

「いいえ、この絵は30秒で描かれたものではありません。40年と30秒かけて描いたものです。」(1)

1. (なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか? これからを幸せに生き抜くための新・資本論/山口揚平)Kindle 629

 宗介はこの話を聞いて絵は“才能”であると理解する。ピカソほどの大天才が、さらに40年の努力を継続したからこそ、たった30秒の絵が100万円の価値をつけたのだと実感した。ピカソは金儲けの天才でもあったと記述されているが、それは割愛する。

 絵に関する記事を探しているとこのようなものを見つけた。【画像】漫画家さん、絵は才能ではない事を完全証明してしまう。というまとめサイトだった。

 納豆まぜおさんが、神絵師は神料理人じゃないよっていう話。とツイッターにあげていた。

 こんな感じの話だ。登場人物はAさん、Aさんの友達。

「友達に神絵師がいる」

Aさん「ずる~い!!」

友達「えぇ?」

Aさん「私なんて一生懸命…1週間かけて描いた絵が全然誰にも見てもらえないのに」
Aさん「なんであんたが1時間てちょろっと描いた絵がこんなにすごいのよ!」

友達「それリプでもたまに言われるけど…あのさー」
友達「あんた料理上手いじゃん?」

Aさん「はい?」
Aさん「当たり前でしょ! 私調理師の専門学校行ってたし」
Aさん「レストランで働いてるし…」
Aさん「子どもの時からお母さんに教えてもらってたし!」

友達「それだよ」

Aさん「ん?」

友達「私も幼稚園のことからずーーーーーーーっと絵ばっかり描いてきたのよ」
友達「中学・高校と美術部だったし授業中も落書きばっかり」
友達「それから美大予備校通って美大行って家でもずっとイラスト描いて」
友達「ソシャゲ会社に就職して一日中会社でイラスト書いて家でも同人のイラスト描いて」
友達「ステータスでいったらこんな感じ絵に全振り」

数学     10
絵      300
アホ毛    20
ファッション 10
勉強     10
料理     10

友達「だから私が1時間で描いた絵は」
友達「2万時間+1時間で描いた絵なんだよ」
友達「それに自慢じゃないけど私…」
友達「料理はぜんっっっっっぜんできないからね?」
友達「チャーハンぐらいおいしく作れるようになりたい…」

Aさん「おしえよっか?」

「神絵師はずるくないし」
「神料理人もずるくないよ」

 宗介はこの話を読んで、ピカソクラスの偉人になるには超絶な才能と超絶な努力が必要であることを知った。しかし、普通の神絵師になるならば2万時間+1時間だけでいいとも知る。もっとも、普通の人はイラストに2万時間も費やさない。それだけの努力ができるだけで一種の才能と呼べる。

「ツイッターの神絵師は小中高から描き続けて、予備校も大学も美術系。まいったな」

 ため息をついて天井を仰ぐ。宗介はズブの素人であり、数年間、漫画のイラストを描いていただけだ。しかもブランクがある。野球部をやめた今、簡単にイラストレーターになれたらだけれど、人生そんな甘いもんじゃない。

 ひとまずPDCAサイクルを回すことに決めた。イラストレーターになるにはどうすればいいのか? 計画を練ることから始める。ちなみにPDCAとは、Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善、のことだ。

 逡巡する。いきなりイラストレーターになるのは難しい。まずはネットにアップしてアクセス数を増やすことを目標とする。

 そうと決まれば描くのみ。宗介は紙と鉛筆それから身近な漫画本を取り出して練習を始める。実に2年ぶりに描いたトレス絵だった。全然うまくないのはご愛嬌ということで。

第3話 Plan=計画

 宗介は手始めにイラストの教本を買ってきてパラパラとめくった。プロのイラストレーターが作成した教本は、なるほど、実によくできている。美術学校出身の渾身の解説が付いており、漫画イラストよりは写実的なデッサンに近い描き方が書かれていた。漫画を学ぶ前に人体の構造を学び、上腕二頭筋や腹筋、骨格の描き方などがのっていた。

 二冊目をパラパラとめくる。宗介が欲しているのは確かにイラストの描き方だが、一冊目はこれじゃない感があった。一冊目は実に分かりやすい、しかし、萌え絵ではない。宗介が描きたいのは可愛い女の子であり、萌え絵であり、巨乳や絶対領域などであった。とにかく可愛い女の子が描きたい。宗介の欲望はとどまることを知らず、二冊目はおっぱいの描き方が享受できる本だった。

 エロい。その日は二冊目(おっぱいの描き方)をじっくり読み、一夜を過ごした。

 さて、イラストレーター志望の買い物などはこの辺にしておき、翌日、宗介は高校に通う電車の中で計画を立てた。PDCAサイクルを回すのだ。スマホでネットを閲覧しつつ、今後の戦略を練る。

一、実行。これは毎日1時間ずつ練習すればよい。お手本は商業漫画だ。

一、評価。これがいささか難しい。なぜなら周りに宗介がイラストレーター志望であることを打ち明けたことがない。よって絵を見ても笑われるか無関心を装われるかのどちらかだ。

 自分で自分を評価することは解せぬ。けれども宗介の描いた女の子を身近な他人に見せるのは恥ずかしい。前日のように宗介はおっぱいやら絶対領域やらを自由気ままに描く予定であり、そんな萌え絵を他人に評価してもらうのは自分の恥部を惜しげもなく見せるのと同等。よって評価は匿名の者にしてもらわなければならぬ。

一、改善は後回し。まず評価の部分を実現せねばPDCAサイクルは回らなかった。

「誰にイラストを見せようか?」

 電車の中で立ちながら宗介は独り言を吐く。車内では本を読むもの、ゲームをするもの、友達と談笑するものなど様々な老若男女がいる。しかし、宗介のように萌え絵で将来を憂慮しているものは一人もおらず、宗介のように萌え絵で生計を立てようなどと考える馬鹿は全国を探しても千人もいないだろうと予想できた。少なくともその千人は専門学校や美術大学に行くという進路をとる。宗介のように大学進学せず独学でイラストレーターを目指そうなどというものは本物の天才か馬鹿のどちらかであり宗介は馬鹿に分類された。

 野球部で甲子園を目指せなくなった腹いせにケータイ小説を読み、イラストを描くようになっただけの高校生。なるほど、イラストは趣味にカテゴリーされるだろう。

 もう一度ため息をつく。スマホのページを適当にスライド。すると、あるページに目を奪われる。ユーキャンだった。ユーキャンのデジタルイラスト講座。

「なになに? 五か月間の通信講座で添削やって質問に答えます? ――添削!?」

 宗介は閃く。評価の部分は身近な他人でなくてもいい。本物のプロの講師でも全然構わない。むしろそのほうがやる気が出る。添削で評価され、それを元に改善する。なるほど、ユーキャンを使えばPDCAサイクルを回せそうな気がしてきた。

 宗介はデジタルイラスト講座を受講することに決めた。一括払いで四万円とちょっと。高校生に手痛い出費だがバイトすれば問題ない。

「五か月間受講して上手になってピクシブにアップしよう」

 イラストレーターになるには何年、何十年かかるか分からない。しかし、ピクシブにアップするのは誰でもできる。宗介はまずはピクシブにアップできるクオリティーの作品を描くため、ユーキャンに申し込むことにした。

第4話 唐井ひつじ登場

 宗介がアルバイトしようと決めたのは近くのスーパーマーケットだった。電話して面接を申し込み、履歴書を本屋で買ってしこしこ概要欄を埋めていく。あとになって気づいたのだが宗介の受けるスーパーマーケットでは履歴書不要の面接をしており、当日に簡単なチェックシートを記入するだけのものだった。貧乏高校生の無駄な出費にいささかの怒りを覚え、けれどもバイト募集の要項をちゃんと見ずに電話してしまった宗介の判断ミスだと自分に言いきかせて、冷静になる。

 デジタルイラスト講座を受けるための資金作りをしているのだ。無駄な出費は極力避けたい。

 そうこうしているうちに宗介のアルバイトが決まってしまう。野球部をやめてから初めてのバイト。宗介は緊張のあまり、大声で挨拶をしたのだけれど、面接官にそこまで大声を出さなくていいと注意されてしまう。野球部と社会ではちょっとした乖離現象が起きている。社会では大声を出す人はうざがられる。元野球部の宗介がバイト先で大声を出しても誰も喜ばない。接客時は適切な音量で挨拶しようと誓った。

 バイトの初日。宗介は簡単なレジの作業を教わる。スーパーではお客さんが買い物かごに食材や日用品を山ほど買い込み、先輩のバイト店員が忙しそうに品物を数えては会計していた。

「おやおや冬野君じゃないか」

「唐井さん?」

「めえめえ」

 偶然出会ったのは同じクラスの唐井(からい)ひつじ。くせ毛の強い彼女はちょっとだけ色のついた茶髪を巻き、おしゃれな髪型をしている。クラスであまり話したことがなく、というか野球で多忙だった宗介は野球部以外とそんな接点を持っておらず、ほとんどの人とプライベートで仲良くなったことがない。唐井ひつじは接点を持たない女子の中でも特に関係の薄い人物で、宗介の属するコミュニティと真逆を行くような人物である。要するに、おしゃれ、遊びまくり、リア充、と平日休日を練習漬けだった宗介とまったく住むところの違う人なのだ。

 なんといっても可愛い。モデルみたい。万年補欠だった宗介にとっては高嶺の花のような御仁。

 もちろんレギュラーだから偉いとか補欠だから偉くないとかそういった話ではなく野球部の中でも格差があり、リア充のやつと宗介みたいなぱっとしないやつに分かれているというだけの話。宗介は補欠でおバカキャラで自虐ネタ満載の野球部だった。

 アンダードッグ効果を知っているだろうか。投票予測や勝敗予測で劣勢だったほうを応援する傾向が出てくること。なのだが、宗介はそれを対人関係に利用していた。自虐ネタを言いまくり、相手に自分よりも下ですよ、と。まるで子犬がごろんと横になって腹を見せるように、主人に服従の証としてアンダードッグ効果を使っていた。しかし、調べてみると、通常の人間関係においては、このアンダードッグ効果はあまり良い結果を残さないことが分かった。謙遜や自虐発言を行う人に対し、相手は自分よりも格が下だ、と感じ、優越感を持って対応するようになる。そのため対等な人間関係を築くことが難しくなってしまうらしい。

 でもそれでいい。野球部に対等な人間関係なんていらない。先輩後輩の上下関係が絶対であるように、同級生同士でも上下関係があればやりやすい。宗介は縁の下の力持ちになれるよう必死に努力した。もっとも野球部をやめた今ではあまり関係のない話ではあるが。

 と長々と話してしまったが、最終的に何が言いたいのかというと唐井ひつじは宗介の上の立場の人物であり、現実的にもバイト先の上司であった。

 だから宗介は緊張のあまり失礼なことを口走ってしまう。

「うちの学校アルバイト全面禁止なのに働いててもいいの?」

「バレなければ問題ないのです。めえめえ」

第5話 同級生は漫画家志望

 才能の話をしよう。

 冬野宗介が野球を始めたのは小学四年生のときだった。少年野球、中学野球、高校野球ときて退部するまでに実に七年間を野球と関わってきた。野球のほかにも水泳やマラソンを中心に、サッカー、バスケ、バドミントン、バレー、多岐にわたるスポーツに触れ、それなりの結果を出してきた。中学では練習不足だと明らかにわかるスランプに陥ったことがあるけど、それでも宗介はそれなりの運動部人生を歩んできた。

 七年間だ。七年間。密度が薄かったとはいえ七年もやっていればレギュラーになれるほどの腕前があるはず。そう楽観していたのは高校一年生の入学式までだった。

 野球というスポーツは面白い。なぜなら小学校、中学校、高校、そしてプロまでに野球は同じルールの癖に競技内容ががらりと変わる。

 まず小学校は軟式ボールを使う。体に当たってもケガが少なく、投げるときに腕の負担にならないボールだ。中学ではダイヤモンドと呼ばれる本塁から一塁、二塁、三塁までの距離が長くなる。小学校と中学校の違いだ。また、中学からはリトルボーイズやリトルシニアと呼ばれる組織に入り、硬式のボールを扱う子も出てくる。高校で甲子園を見据えた意識の高い中学生はたいていここに入るか、全国に出るような中学の軟式チームに入る。

 宗介は意識が低く、中学の時から高校野球を見据えていなかった。自分が硬式のボールを使って野球をプレイする姿を想像していなかった。ただなんとなく。なんとなく野球の練習をしていた。

 そして高校野球。ここから内容ががらりと変わる。中学と比べて、さらにダイヤモンドの距離が長くなる。そして本格的に硬式のボールがデビューする。高校の硬式球とは非常に扱いづらく危ない。まずキャッチボールで教えられることが、相手が声をあげてからボールを投げなさいということだった。なぜなら相手がそっぽを向いているときにボールを投げると硬式球が当たり、重大なケガをしてしまう恐れがあるからだ。

 宗介が硬式のボールを触ったのは高校一年生のときだった。いくら小学校から野球をやってきたとはいえ、初めて触る硬式球は厄介極まりない。中学の軟式球と全然違う。そもそも、お前の投げ方では腕を壊すと教えられ、腕の振りの改善からスタートした。宗介は外野だったのだがフライの感覚も違えば、バントもうまく決まらず、ましてストレートと変化球の落差にバッドは空振りする始末だった。だいたい何がいいたのかと言えば想像につくと思われるが、宗介は硬式デビューであり、初心者丸出しのプレイだった。

 硬式球に慣れるまで一年かかった。腕の振りの改善は結局やめるまで続けていた。

 閑話休題。

 才能の話をしよう。宗介の場合、七年間もあった野球人生で結果は出ず、ただ運動神経の良い人どまりで終わってしまった。これが努力と才能を掛け合わせた人だったならば、例えばオリンピックの候補選手に選ばれたり、例えばプロにいったり、最低でも高校のレギュラーとして活躍しているはずだ。しかし、実際は野球だけに捧げるわけにもいかない。友達と遊びたいし、ゲームしたいし、ぐっすり寝たい。七年間をずっとストイックに野球漬けの毎日を送るなど、それほどの興味を宗介は野球に持てなかった。

 もちろん野球で飯を食っている人は素晴らしいと思う。

 宗介が関わってきた七年間で、コーチになったり、監督になったり、企業に入ってノンプロで野球を続けている人がいた。バッドをつくりプロに贈呈する人や教職員とと野球を両立させている人がいた。皆様、野球が大好きで生涯を野球に捧げている人ばかりだ。それで飯を食っているのだから当然かもしれないが、しかし、だからこそ宗介は叶わないと悟った。宗介はそこまで野球が好きではない。いや、言い方を変えよう。野球が好きだからこそ七年間も続いたわけではあるが、野球で飯を食っている変人どもと比べれば宗介は簡単に白旗をあげてしまう。そこまで好きではなかった、ごめんなさい、と。

「こほん」

 一つ咳払いする。前置きがすごく長くなった。結局何が言いたかったのかというと唐井ひつじは天才だったということだった。

「唐井さん、君が漫画家を目指すなんて正気なの?」

「うん、そだよ」

 高校の授業が終わった放課後のクラス。昔だったら廊下を駆けて野球部の部室に出向いている頃合い。同じクラス同じアルバイト、唐井ひつじと喋ることになり、彼女の絵を見せてもらって宗介は驚いた。二重の意味で驚いた。

 派手なグループに属している唐井ひつじはギャル系かと思っていたら漫画家志望だった。これが一つ目の驚き。そして、二つ目は絵がめちゃめちゃうまかった。まさに天才と評するにふさわしい人物だった。宗介が七年間を棒に振ってしまったのだとしたら唐井ひつじが野球をやっていれば甲子園のエースで四番だったはず。それくらいの才能を漫画で見せつけられた。

 クラスメートに天才がいた。宗介は一つ質問する。

「僕も絵を描いてるんだけど、参考書を読んでも全然うまくならないんだ。何かうまくなる方法はある?」

 唐井ひつじの返答は至極当然のことだった。

「描くだけだよ」

「え?」

「漫画は理屈じゃない。いくら参考書を読んでもそれは中級者向けに解説してあることがほとんどだから。冬野君は書き始めたばかりでしょう?」

「そだけど」

「じゃあ描くしかないよ。参考書なんて買わずに250円で週刊少年ジャンプでも買って、あとはひたすら模写するほうが断然効果的。うまくなる一番の近道だと思うな。がおがお」

第6話 絵描きに必要なのは忍耐力!?

 唐井ひつじに宿題を出された。

「英語の勉強をしてきてください」

 なぜに英語を? と疑問に思う暇もなかった。彼女から手渡されたのは一冊の本。題名は「Crime and Punishment」。フョードル・ドストエフスキーの名作「罪と罰」だった。

 唐井ひつじは持論を披露する。

「冬野君は何のために高校に通ってるの? 勉強するため? 普通そうだよね。だけど最近の学校教育はなってないと思うな。天才と呼ばれるエジソンしかり、アインシュタインしかり、彼らは学校教育をあまり必要とせず独学で成果をあげてきた。つまるところ私たち芸術家志望にとって高校って無意味だと思うんだ。だけどみんな同じ制服を着てせっせと毎日足を運んでいる。どうして?」

「どうしてって言われましても」

 宗介は困惑してしまった。唐井ひつじのあまりの早口に頭が追いつかない。そりゃあ、彼女は天才で優れたイラストを描くことは認めよう。だけれど、ちょっとどこか抜けている阿呆らしさというか天然っぽさが今は邪魔だった。もう一度言う。唐井ひつじの早口に頭が追いつかない。

 それでも彼女は矢継ぎ早に持論を展開する。

「高校は何のためにあるのか? ずばり忍耐力を鍛えるためだよ。したくもない五科目を勉強させられて嫌々と半日過ごす。これって社会に出たらすごく重要なことで、したくもない仕事を延々と半日以上するための訓練を受けているんだよ。めえめえ」

「はあ、それと英語にどのような関係があるんですか?」

「私、絵を描くのが大好きでノリに乗った時は休日を全部使って描くんだ。でも冬野君は違うよね? 時には嫌々描いたり、三日坊主したり、絵の優先度があんまり高くない」

「どうしてそれを!?」

 宗介は仰天する。唐井ひつじから指摘された点は当たっていた。最近バイトが忙しくて絵を描く頻度が下がっていた。最後に描いたのは三日前。週刊少年ジャンプに連載している作品を三つほど選び、その作品のヒロインを一時間ほどかけて描いた。絵のモチベーションは下がっている。

「冬野君に足りないのは忍耐力だよ。嫌々でもいいからもっと絵を描こうよ」

 天才はそのジャンルの優先度が高く、簡単に没頭する。凡人はそのジャンルの優先度を高くしているつもりでも途中で飽きてしまう。だから唐井ひつじは言う。凡人に必要なのは天才と同程度がそれ以上の絵を仕上げる忍耐力なのだ、と。

「『失敗要因の排除』と『数を打つこと』は、すべてに通じる王者の戦略です。漫画や小説、イラストの一番の上達はとにかく、か(描or書)くことです!」

「わ、わかりました」

 唐井ひつじの演説に宗介は思わず頷いてしまう。そして、罪と罰を手に取り、帰宅した直後、勉強机に直行し、電子辞書を取り出して翻訳に入る。英語を勉強して忍耐力をつけることがイラストレーターになるための必須条件らしい。※凡人に限る という事実が実に嘆かわしいが、宗介は唐井ひつじみたいに一日中創作活動にふけるのは死んでもごめんだった。絵は一時間描ければ十分、といった感じで、やっぱりそこが天才と凡人の境界線のような気がした。

 苦手な英語を勉強すること=忍耐力をつける、らしい。ちなみにすごく嫌なことに唐井ひつじは勉学の方面でも多大な結果を残している。進学校に多いタイプがまさに彼女みたいな人で、部活や趣味に全力になれる人は勉強ができて、勉強ができる人は部活や趣味に全力になれた。小さい頃の習い事を聞くと、多くの人が音楽(ピアノ)、計算(そろばん)、運動(水泳)を同時進行でしていた。塾を二つ掛け持ちしていた天才もいた。

 宗介は最初の一行目を音読する。英語を見ると頭がくらくらした。

One evening a young man left his room to go out.

「若い男は彼の部屋を離れた……と」

 宗介は『外出する』が読めなかった。英語の勉強……我慢、我慢。

第7話 お金が貯まりました

 スーパーのバイトを通して宗介が知ったことは世の中、普通にアルバイトしている人がたくさんいること。そして、給料が安いと評される小売業でも頑張っている人がたくさんいることだ。

 小学校で当たり前のように100点を取る。中学校で夏休みは毎日5時間勉強する。良い高校に入り、良い大学に行く。そして最後は良い企業に務める。これがすべてだと思い込んでいた。新卒の給料は20万円以上、ボーナスは100万円以上、そんな東京の上場一部企業に入ることがすべてだと思っていた。しかし、宗介は野球部を辞め、挫折し、イラストレーターになろうと決めた時から違う生き方を見つけてしまった。それはどうしようもなく不器用で、世渡り上手な人から見れば道端に落ちている宝石を拾わずに石ころを拾っているようなものかもしれない。それでも宗介は、その芸術という曖昧でもやもやしたものに、例えればただの石ころに心を奪われてしまったのだ。石ころは石ころでもまったく同じ形をした石はない。人が価値ありと認めた宝石は、何十万、何百万と値が付けられるが、宗介は石ころのようなただ同然で手に入るものに唯一無二の価値を見出してしまった。世の中に一つとして同じものがない存在オリジナルの芸術作品は、周りの人から見ればゼロ円に等しい。けれど宗介はタダで作れるそれらが宝石のようにキラキラしていることに気づいた。

 本気でイラストレーターになれるとは思っていない。けれども紙くず同然の自分の描いた絵が、心臓を、鷲掴みにし、なかなか離してくれない。良い高校に入り、良い大学に行き、大企業で莫大な報酬を得るのとは違った達成感を味わってしまうのだ。

 話を元に戻そう。アルバイトを通して、高校の、周りの一流企業を目指す受験生とは違った価値観に浸食されてしまった。周りの高校生たちがテストの点数を一点でもあげようと電車の中や家で学習しているのに対して宗介はキラキラ輝く宝石がもっときれいになるように絵の練習をするのであった。東京大学、京都大学、早稲田慶応、東工大、一橋、阪大、医者、弁護士、税理士。周りの連中が死に物狂いで勉強しているさなか、今までの勉強を放棄してきた宗介にとっては、もはやどうでもよいことであった。頭の良い人は勉強して良い大学に行って良い就職先を見つけて勝手に年収1000万でも2000万でもなって偉くなってください、と言わんばかり。他人は他人。自分は自分なのだ。

 他人が限られた枠の宝石を奪い合っている中、宗介はアルバイトという環境で自分だけの石ころ探しに奔走していた。

 大卒は正社員になることが正義だと教えられる。なぜならフリーターと正社員では生涯賃金が一億二千万円ほど違うからである。また、福利厚生、退職金など様々な利点がある。けれども世の中、正社員じゃない人であふれている。そもそも女性は結婚を機に寿退社するのが普通であり、(近年、労働環境改善により出産しても休職扱いになるホワイト企業が増えてきたが)長く正社員でいることは難しい。だからどうしたというのだろうか? アルバイトを通して、宗介はセンター試験を受けない高校生という存在と触れ合ってきた。彼らは生き生きしていた。高校を卒業後、就職や二年生の専門学校に行かれるのだが、彼らはセンター試験を受けなくても偉く立派だ。進学校に入ってしまった宗介よりも仕事ができる。勉強ができることと仕事ができることは違うのだ。クリエイティブじゃない単純労働では圧倒的に時間の蓄積が必要になってくる。職人気質というかプロフェッショナルというか、一つの仕事を極めるのに1万時間の法則を使わさせていただく。どんな人でも毎日8時間、約3年とちょっとで1万時間の仕事のプロになれる。そこに頭の良さはあまり関係がない。継続こそが力になるのが仕事なのだ。

 さて長々と語ってしまったが、宗介は、とどのつまり、何が言いたいのかというとバイト先のスーパーではパートのおばちゃんたちがあふれており、彼女様らは家庭を持ったリア充が多く、人生が幸せそうだった。賢母良妻のお手本のような女性が多く男女差別と非難されるのを承知で発言するが、女性はそこまで勉強しなくてもよいんじゃないか? と思われた。んで年収1000万円を超えるのに学歴は必要だと思ったが、偉くなるのに学歴は必要ないと感じた。中卒でも勉強嫌いでも偉い人はたくさんいる。机にかじりついているだけが人生じゃないように感じた。例えば医者とか弁護士とかやりたいことがあって勉強する人はすごいと思うが、やりたいこともないくせにただ周りに言われたからと目的もなく勉強する人はすごくないと思った。もちろん勉強のできる人は尊敬できる。だけれども人生において成し遂げたいことのない人は時間を無駄にしているように感じた。宗介のやりたいことに勉強は必要ではなかったので、即刻諦めた。最後に、バイトはめっちゃ疲れた。

 なんだかんだ一か月ほどで給料がもらえ、目標の金額が貯まった。

 もう一度。スーパーのバイトと思って甘く見ていたが、精神的にめっちゃ疲れた。

第8話 デジタルイラスト講座

 ユーキャンから目的の物が届く。段ボールに箱詰めされた教材の数々。

 宗介はさっそく郵便物を受け取り、部屋に戻り、包装を解く。初めて目にしたペンタブをパソコンに繋ぎ、さっそくイラストを、という訳にはいかず。まずは学びオンライン+というサイトにアクセスした。マイページを作り、CLIP STUDIOを立ち上げる。なお、操作がややこしいため1時間かかってしまう。

 なんとかCLIP STUDIOを使えるようになった宗介はさっそくデジタルイラスト講座の①基本操作編を読む。

 みなさんはパソコンのペイントツールを使ったことがあるだろうか。宗介はあまりない。イラストを描くときは鉛筆で下書きしてボールペンで本書きをする、いわゆる紙派だったため、パソコンのツールに疎い。そんな宗介がデジタルに手を出して1番驚いたのはレイヤーだった。

 レイヤーとは、要は下書きの事だ。下書きを何枚も何枚も重ねて1枚の絵にする。レイヤーを入れ替えることで、例えば赤一色の絵にイラストを重ねたり、そのまま赤だらけにしたりできるのだ。これは大変驚いた。今まで鉛筆とボールペンという概念しかなかった宗介の中にいくら失敗してもやり直せる下書き、レイヤーという魔法が誕生した。

「ふう……今日はこんなところか」

 3時間ほど教材を読み、ペンタブに慣れた宗介。さっそく課題に取り組む。

 ユーキャンでは3回の添削課題があり、宗介は初心者の添削課題に取り組む。ここで問題になったのは、添削課題は決められたイラストに修正を加える作業であり、オリジナルのイラストをチェックしてもらうということではなかった。

 これではPDCAサイクルが回らない。やはり、できたデジタルイラストを身近な人できれば絵心のある人、唐井ひつじ辺りに見てもらうのが良さそうだ。すっごく嫌ではあったが、これも上達するため。宗介は観念した。

 3時間の勉強の結果、なんとか添削課題をクリアしてメールに添付し、送信する。

 ここで注目しておきたいのが、デジタルイラスト講座はあくまでペンタブの使い方を学ぶ場であり、上達する場ではないということだ。

 継続は力なり。

 やっぱりエチエチなお姉さんや妹、素晴らしい萌え絵を書くには練習あるのみだということが分かった。ペンタブの使い方をマスターするのと並列で、紙で絵の練習をしなければならないと思った。

 たった4万4千円で誰でもイラストが描ける魔法は存在しない。ペンタブの使い方を覚えたその先に、宗介の目指すべく、ピクシブでの作品公開が待っている。であるからして絵を描くべし、描くべし、どんどん描くべし、なのだ。

 小説家になりたいやつは、どんどん書くのが一番の近道。イラストレーターになりたいやつは、どんどん描くのが一番の近道。編集者になりたいやつは、どんどん編集するのが一番良い。そんなことを三木さんが著書でおっしゃっていたのを思い出す。

 ま、これからさ。

 青春短し、恋せよ乙女。

 宗介はクリエイターという職業にぞっこんだった。まだまだ高校生なのだから。恋の経験はたくさん必要なのだ。

第9話 終わり

 あっという間に一年の月日が過ぎる。

 3月。卒業式。出会いあれば別れあり。高校三年の最後を締めくくるにふさわしい日。宗介は高校を卒業する。もっとも出会いを惜しむ友はいない。卒業式という日は基本的に部活動の仲間で過ごすものであり、一人になってしまった宗介はひっそりと帰宅した。もっともプライベートであう仲間は何人かいて小学校、中学校、そして、高校と恵まれた日を過ごした。と思う。

「何をしょぼくれてるのよ!」

 帰り道。声をかけられる。漫画家の唐井ひつじだ。

「いや、帰ろうと思って」

「彼女を置いて帰る奴があるか!? めえめえ」

 唐井ひつじはいわゆる彼女(?)だ。

 恥ずかしながらご報告を。イラストという共通の趣味を持ち、バイトを通して交流を深め、卒業前にめでたく付き合うことになった。しかし、二人とも初心でまだキスすらしていない。残念というか、まだ早いというか。小学生カップルに笑われる。

 宗介の恋愛事情はさておき、目標であるイラストレーターになる夢はどうなったのかを発表する。まだ、なっていない。当然だ。一年では何も変わらなかった。彼女のひつじも四苦八苦しているそうで。チャオで天才女子高校生漫画家! と叫ばれながら鳴かず飛ばずの連載を続け、卒業を前に無職になってしまったらしい。今後はアシスタントとして一から出直すとか。

「めえめえ。宗介の進路はどうなったのか?」

「前に話したはずだ」

「まだ聞いていない」

「ったく」

 同級生が有名大学に進学したり、浪人したりする中。唐井ひつじは漫画家のアシスタントという道を選んだ。まあ、彼女には絵の才能があるのだから周りは至極当然と納得した。では宗介は? 彼は絵の才能がないのに、どうするのか。

 二年生から決まり切っている。答えはすぐに出た。

「フリーターになってイラストレーターを続けるよ」

 夢は諦めない。絵の仕事で安定した収入を得るために努力を続けている。

「バーカだ、こいつ。ここにバカがいる」

「うっさい」

「まあ、それでこそ私の彼氏だ」

 唐井ひつじがポンっと宗介の肩を叩く。スキンシップというものはむず痒い。

 読者の皆様。メタっぽいけど許してください。物語の結論から言うと、宗介はアマチュアのイラストレーターになった。デジタルイラストはどうしても苦手だったが、一年の努力が実を結んだ。

 ココナラというサイトで一枚500円ほどでイラストを描いて売っている。まだ10枚くらいしか売れていないがイラストレーターの道は着実に開いている。

 唐井ひつじが手を引っ張って言った。

「宗介や。ラブホに行こう」

「はあ!?」

「卒業して漫画の担当から許可が出たのじゃ。えっへん」

 唐井ひつじは変な奴だ。チャオでアイドル漫画家としてデビューし、高校卒業まで男女交際を禁止されていた。それが解かれたとかなんとか。

「ちょっと待ってくれよ」

「え、嫌なの?」

「そうじゃなくて……」

 いきなりで無理だ。まずは一歩ずつ男女交際を始めよう。例えば、最初からプロになるのではなくネットで少しずつイラストを描いて名を広めていくように。

「その、キスで、お願いします」

「よかろう!」

 フレンチキッス。ファーストでカルピスで超弩級というやつだ。意味不明でごめんなさい。

 兎にも角にも、毎日少しずつ努力すればいいのではないでしょうか?

 プロにならなくても夢は叶うし、アマでも500円稼ぐことができる、と心に刻む。

 金銭のやり取りは責任であり、責任は大きく成長を促す。今度はコミケに向けて再チャレンジだ。目指せ、同人作家……じゃなくて、イラストレーター!

 唐井ひつじと付き合ってたくさんの技術を教えてもらった。また、夜に、違うことも教えてもらった。彼女は、「めえめえ」と得意そうに言った。

 ちゃんちゃん。

※プロじゃなくていい、アマチュアで好きなことをしよう、というお話でした。ありがとうございました!

POSTED COMMENT

  1. とぴん より:

    こんばんは。長いことご無沙汰でした。ラーメン屋、辞めちゃいました。。。汗。長い夏休みの始まりです。私も漫画の方は続けています。ファンアート、もう一枚描きましたよー。

    • hakadoru より:

      翔太朗です。お久しぶりです。コメントありがとうございます。久しぶりのコメントにすごく喜びました。嬉しいです。
      ラーメン屋は仕方ないですね。お体を大事にしてください。
      ファンアートありがとうございます。幸せです。
      ファンアートを受け取りたいのですが、連絡先を交換しませんか? どうやって連絡取りあいましょう? 

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